ピアノの音色とその魅力の謎

弦楽器とは違うピアノの魅力と謎

 

 

 

過ぎし5月24日、以前こちらのサイトでお知らせしました、ピアニスト日置寿美子さんとヴァイオリニスト吉井真琴さん、チェリスト吉井健太郎さんによるロマン派音楽のピアノトリオ演奏会に聴きに参りました。

その演奏会のお知らせページはこちら。本格派ロマン音楽の夕べ
こちらに、日置さんによる演奏会へのお言葉をご紹介しています。
ここで特に私が注目していたのが、東京文化会館所蔵のベーゼンドルファー「インペリアル」。

 

実は、私はあらゆる楽器の中でピアノほど素晴らしい楽器はない、と堅く信じています。
というのは、名作曲家のほとんどはまずピアニストとしてその音楽人生を歩んだからなのと、それだけの理由がピアノという楽器にあるからだと思うからです。

そんな理由で、いつもピアニストの友人たちと共演するとき、練習の時からピアノという楽器の持つ幅広さ、可能性に圧倒されるような思いでもいます。

 

ピアノという楽器は、鍵盤を押すタイミングと、実際に弦が鳴るタイミングに少し時差があります。

実は弦楽器でもあるピアノ、その時差が私は大好きで、どのピアニストと共演しても時差の間に私自身も感じる音楽がより深くなるような気がします。

もちろん、時差といってもほんの0.01秒もないくらいなのかもしれないのですが、この時差は私にとって非常に濃密で無意識のうちに様々な音楽がめぐる時間でもあります。

なので、ピアノが入る室内楽の演奏会ではいつもピアノにも注目しています。
弦楽器の音とピアノの音、全く違う発音同士の音がホール内で響き渡り消える瞬間、その謎を追い求めています。

 

東京文化会館の小ホールは、非常に響きがいいホールですが、今回敢えてピアノの動きがよく見える席を選びました。

そこから見える腕と指から鳴るコロコロとした音色の純粋さ、真珠のネックレスのように綺麗に並ぶ音列、そして音が消える瞬間の余韻。
ピアニストとはなんて腕が美しい演奏家なのでしょうか。

また、弦楽器お二人との呼吸と合わせ方。
弦楽器のことにも触れると大変長くなってしまうので敢えて割愛しますが、そのアンサンブルの精緻さに心から感動した夜でした。

 

曲の印象で言えば、メンデルスゾーンの2楽章の冒頭のピアノの美しかったこと。

そして3楽章スケルツォは、あの梅雨を連想させるお天気だった日に爽やかな印象を残してくれました。正に「真夏の夜の夢」の世界です。

チャイコフスキーは、チャイコフスキーのピアノが入る作品は弦楽器のそれとは全く印象が違うのですが、その違いをまた思い知らされました。
このピアノから鳴るチャイコフスキーの音の羅列に何ともいいがたい色を感じるのはなぜなのでしょう。ピアノは音が端正で消え行くからなのか。

 

と、自分がヴァイオリン弾きだからか、ますますピアノという楽器の魅力とその謎に包まれた日でありました。

それにしても、これだけの大曲2曲を一晩の演奏会で聴かせられるこのトリオの方々には心より尊敬の念を抱きます。
また違うプログラムでもぜひ聴かせて頂きたい、きっと何か気づかせてもらえるだろう、と思うのでした。

 

ピアニスト日置寿美子さんの公式サイトはこちらです。

ピアニスト 日置寿美子

 

 

 

SNSでもご購読できます。